JAS制度|木質建材のJAS
木質建材のJASについて
日本農林規格(JAS)は農林物資の規格化等に関する法律(昭和25年5月11日法律第175号)に基づき農林水産大臣が制定するものです。
農林物資はもともと動植物を利用したもので品質のばらつきが大きく、この品質の改善、生産の合理化、取り引きの公正化、そしてその使用または消費の合理化を図るために、規格を制定してその規格にそって、品質の適正な表示を行い、消費者の正しい選択を助けて行くものです。
ここでは木質材料のJASの概略について紹介します。さらなる規格の詳細につきましては規格本体をご参照ください。
また、世界各国で木質材料についての規格が制定されており、現在、国際標準化機構(ISO)ではこうした規格の標準化を図るため、各国の専門家からなる会合を開いております。順次標準化され、日本農林規格もそれに準じた改正が行われることとなります。
合板
接着の程度、含水率、板面の品質、心板の品質、曲げ性能、側面及び木口面の仕上げ、寸法の許容差などを規定。(ホルムアルデヒド放散量、防虫処理についても規定しているが、これらは表示する場合に限る。なお、普通合板、天然木化粧合板、特殊加工化粧合板については、ホルムアルデヒド放散量の表示が義務付けられている。)
- 普通合板
- 類別:
- 1類、2類(接着の程度を示す)
- 等級:
- 広葉樹については板面の品質基準1等、2等、3等、4等
ただし、熱帯産広葉樹(通称ラワン)は1等、2等、3等
針葉樹については 板面の品質基準 A, B, C, Dの組み合わせ。
種類 品質・区分 マーク(証印又は証票) 普通合板
(普通の一般合板)接着の程度:1類、2類
板面の品質:広葉樹 1等、2等、3等、4等
(熱帯産広葉樹は1等、2等、3等)
針葉樹 A、B、C、Dによる
ホルムアルデヒド放散量:F☆☆☆☆、F☆☆☆、F☆☆、F☆ - コンクリート型枠用合板
- 類別:
- 1類(接着の程度を示す)
- 等級:
- 板面の品質基準 A、B、C、Dによる
表面加工されたコンクリート型枠用合板については表面の品質について別途定められている
種類 品質・区分 マーク(証印又は証票) コンクリート型枠用合板
(コンクリートの型枠工事に使用する合板)接着の程度:1類
強度性能:曲げ剛性試験による
板面の品質:表面加工なしの場合、A、B、C、Dによる
ホルムアルデヒド放散量:F☆☆☆、F☆☆、F☆ - 構造用合板
- 類別:
- 特類、1類(接着の程度を示す)
- 等級:
- 1級、2級(総合的に品質の程度を示す)
種類 品質・区分 マーク(証印又は証票) 構造用合板
(建築物の構造耐力上主要な部分に使用する合板)接着の程度:特類、1類
強度性能:1級 厚さ別及びA、B、C、D表示又はE-Fで表示
2級 厚さ別で曲げ試験結果による
板面の品質:A、B、C、Dによる
ホルムアルデヒド放散量:F☆☆☆☆、F☆☆☆、F☆☆、F☆ - 化粧ばり構造用合板
- 類別:
- 特類、1類(接着の程度を示す)
種類 品質・区分 マーク(証印又は証票) 化粧ばり構造用合板
(構造用合板の表面又は裏面に美観を目的とした単板を貼った合板)接着の程度:特類、1類
強度性能:厚さ別で曲げ試験結果による
板面の品質:化粧単板の品質及びA、B、C、Dによる
ホルムアルデヒド放散量:F☆☆☆☆、F☆☆☆、F☆☆、F☆ - 天然木化粧合板
- 類別:
- 1類、2類(接着の程度を示す)
種類 品質・区分 マーク(証印又は証票) 天然木化粧合板
(普通合板の表面に美観を目的とした単板を貼った合板)接着の程度:1類、2類
板面の品質:基準に合格
ホルムアルデヒド放散量:F☆☆☆☆、F☆☆☆、F☆☆、F☆ - 特殊加工化粧合板
- 類別:
- 1類、2類(接着の程度を示す)
- 表面性能:
- F、FW、W、SWタイプ
種類 品質・区分 マーク(証印又は証票) 特殊加工化粧合板
(普通合板の表面にプリント、塗装、合成樹脂、オーバーレイ等の加工を施した合板)接着の程度:1類、2類
Fタイプ
FWタイプ
Wタイプ
SWタイプ
ホルムアルデヒド放散量:F☆☆☆☆、F☆☆☆、F☆☆、F☆
タイプ別の主な用途と品質の関係及び主な加工製品
タイプ | 主な用途及び品質 | 品目 |
---|---|---|
F(flat) | テーブルトップ、カウンター等高度の耐久性 | メラミン化粧合板など |
FW(flat and wall) | 建築物の耐久壁面、家具などの湿度、温度変化、耐衝撃性、耐摩耗性など | メラミン化粧合板、ポリエステル化粧合板、ジアリルフタレート化粧合板など |
W(wall) | 建築物の一般壁面、家具など通常の使用に耐えうる品質。 | プリント合板、塩化ビニル化粧合板など |
SW(special wall) | 建築物の特殊壁面など | プリント合板など |
フローリング
マーク(証印又は証票)
外観の品質、含水率、接着の程度、用途に見合った強度、耐摩耗性能、ホルムアルデヒド放散量等を規定。防虫処理についても規定しているが、これは表示する場合に限る。
ホルムアルデヒド放散量の表示記号及び基準値は普通合板の規格と同じ。
単層フローリングは表面の品質により等級(1等、2等)を分ける。
複合フローリングは表面に天然木のひき板又は単板を化粧ばりした「天然木化粧」あるいは天然木以外の加工を施した「特殊加工化粧」のものがある。
種類 | 用途 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
根太張用 | 直張用 | |||
単層フローリング | フローリングボード | ○ | ○ | ぶな、なら、かば等の広葉樹又は針葉樹の1枚のひき板(縦接合したものを含む)を基材とした単層フローリング |
フローリングブロック | ○ | ひき板(これを縦継ぎしたものを含む)を2枚以上並べて正方形又は長方形に接合したものを基材とした単層フローリング | ||
モザイクパーケット | ○ | ひき板の小片(ピース:最長辺22.5cm以下)を2枚以上並べて紙等を使用して組み合わせたものを基材とした単層フローリング | ||
複合フローリング | ○ | ○ | 単層フローリング以外のフローリング 基材に合板、ひき板、集成材、単板積層材等を使用したもの |
集成材
構造用では断面の大きさ、樹種区分、ラミナの等級、積層数及び構成、接着剤の選定などを規定。
ホルムアルデヒド放散量については造作用、構造用ともに規定されているが、造作用では表示を義務付けている。
表示記号及び基準値は普通合板と同様であるがF☆のみはF☆Sで表示し、基準値は平均値で3.0mg/L、最大値で4.2mg/Lである。
種類 | 等級 | 主な用途 | マーク (印字の場合は、黒色の単一色とする) |
---|---|---|---|
造作用集成材 (非耐力部材) |
1、2等 | 階段の手すり、壁材、パネルの芯材など、その他幾多の用途に使用できる内部造作用材 | |
化粧ばり造作用集成材 (非耐力部材) |
1、2等 | 長押、敷居、鴨居、落掛、上がり框、階段の手摺,笠木、カウンター、床板、とこぶちなどの内部造作用材 | |
化粧ばり構造用集成柱 (耐力部材) |
主として在来軸組み工法住宅の柱材として用いられるもの。(化粧薄板厚さ1.2mm以上、芯材は5層以上のもの) | ||
構造用集成材 (耐力部材) |
E-Fで表示 | 木構造の耐久部材としての柱、桁、梁、湾曲アーチなど |
構造用集成材では耐力(強さ)がひき板の組み合わせ(構成)により異なり、次のような分類がある。
用語 | 構造用集成材 |
---|---|
異等級構成 | 構成するひき板の品質が同一でない集成材、曲げ応力を受ける方向が積層面に直角になるように用いられる |
同一等級構成 | 構成するひき板の品質が同一の集成材、ひき板の積層数が2または3枚の場合は、曲げ応力を受ける方向が積層面に平行になるように用いられるもの |
対称構成 | 異等級構成でひき板の品質構成が中立軸に対して対称であるもの |
非対称構成 | 異等級構成でひき板の品質構成が中立軸に対して対称でないもの |
内層特殊構成 | 対称異等級構成又は同一等級構成で幅が6cmを超えるラミナブロックを積層方向と直交するよう内層に積層したもの |
特定対称異等級構成 | 対称異等級構成で曲げ性能を優先したラミナ構成であるもの |
単板積層材(LVL)
造作用としての単板積層材で表面に化粧加工を施さないものにあっては、節等の欠点項目により等級(1等、2等、3等)に分け、構造用では接着、含水率、曲げ性能などで特級、1級、2級の3階級に分かれる。
ホルムアルデヒド放散量については造作用、構造用ともに規定されているが、造作用では表示を義務付けている。表示記号及び基準値は普通合板と同様である。
種類 | マーク(証印又は証票) |
---|---|
(1)造作用単板積層材 | |
(2)構造用単板積層材 |
構造用パネル
マーク(証印又は証票)
接着、含水率、吸水性、釘耐力性能、寸法表示のほかパネルの使用条件(根太間隔等)を想定し4階級の強度等級を規定し、製造方法を問わない性能規格となっている。
ホルムアルデヒド放散量については規定されているが、表示する場合に限る。表示記号及び基準値は普通合板と同様である。
枠組壁工法構造用たて継ぎ材
枠組壁工法(ツーバイフォー)建築で使用されるたて継ぎ材で、(2)に示す断面寸法の材をフィンガージョイントでたて継ぎした針葉樹製材を対象とした規格。
-
種類 用途 マーク(証印又は証票) 枠用たて継ぎ材 たて枠として使用 甲種たて継ぎ材 主として高い曲げ性能をもち、「水平部材」として使用する。 乙種たて継ぎ材 たて枠用及び甲種たて継ぎ材以外の「水平部材」、又は、「垂直部材」として使用する。 MSRたて継ぎ材 枠組壁工法構造用たて継ぎ材のうち、MSR枠組材(等級区分機を用いて長さ方向に移動させながら連続して曲げヤング係数を測定して、品質を区分したもの)をたて継ぎしたもので、たて枠として使用。 - 寸法 許容範囲 プラスマイナス1.5mm
型式 規定寸法(mm) 厚さ 幅 203 38 64 204 38 89 206 38 140 208 38 184 210 38 235 212 38 286 - 強度に関する基準
曲げ強度性能を荷重スパン間隔130mmの2点荷重方式によってフラットワイズ、及びエッジワイズの両方の曲げ試験を行う。
- その他の基準
ア たて継ぎ部の接着性能を煮沸繰り返し試験又は減圧加圧試験によって判定する。
イ 含水率 (試験試料の平均が19%以下)
ウ 外観の品質
直交集成板
マーク(証印又は証票)
平成25年12月20日に制定。
接着の程度、樹種区分、ラミナの等級、構成、接着剤の選定などを規定。
ホルムアルデヒド放散量等についても規定されているが、これは表示する場合に限る。
ホルムアルデヒド放散量の表示区分はF☆☆☆☆とF☆☆☆のみとなっている。
接着たて継ぎ材
マーク(証印又は証票)
令和3年2月24日に制定。
材面の品質の等級、たて継ぎ部の品質、接着の程度、接着剤の選定などを規定。
針葉樹の木材に限定され、その繊維方向を互いにほぼ平行にしてフィンガージョイントによって接合したものであり、間柱、胴縁などの建築物の構造耐力上主要な部分以外に使用するものとして想定されている。
規格化により間柱、胴縁などの部材の品質の安定性の確保が期待される。
JASに関して、お聞きになりたいことがございましたら、下記にご連絡ください。
【木質材料のJASに関する問い合わせ先】
●農林水産省消費安全局表示・規格課林産物班 Tel. 03-3502-8111
●(独)農林水産消費安全技術センター 本部、各センター(札幌、仙台、横浜、名古屋、神戸、福岡の各地)
●(公財)日本合板検査会、本部、研究室、検査所 最寄の検査所
Tel.03-5776-2680 Fax.03-3438-1360 E-mail.info@jpic-ew.or.jp
なお、製材及び枠組壁工法構造用製材については下記にお問い合わせください。
一般社団法人 全国木材検査・研究協会 Tel.03-6206-1255
北海道においては 一般社団法人 北海道林産物検査会 Tel 011-251-7830